セダムの読書ブログ

~哲学、思想、歴史などに興味がある者のブログ~

100de名著 スピノザ「エチカ」

スピノザの著書「エチカ」を読み解くための"取扱説明書"】

この本は、NHKで放送されている番組「100de名著」シリーズのスピノザ「エチカ」の回(2018年12月放送)を取り上げたテキストで、
スピノザの研究者としても知られている國分功一郎さんが解説してくれています。

 

スピノザ『エチカ』 2018年12月 (100分 de 名著) Amazon商品ページ↓

 

スピノザ

スピノザは17世紀オランダの哲学者です。
彼はユダヤの家系に生まれますが、ユダヤ教会から破門されたり、
匿名で出版した著作が禁書になるなど波乱万丈な人生を歩んだ人物です。
 

ユダヤ教会から破門された後、「エチカ」の執筆は始まった】

20代半ばでユダヤ教会から破門され、その数年後、スピノザは「エチカ」の執筆を開始します。
え?そんな若い青年が書いたものが約400年後の現代まで読み継がれているの!?と驚きます。
 
古典作品というのは作者が若くして書き上げた作品もあれば一生涯かけて書き上げた作品なんかもありますから、
作者が何歳くらいで書いた作品なのか、どのくらいの期間で書き上げたのかなども調べてみるのも楽しいものです。
 

【「エチカ」は最初から順に読んではいけない!?】

「エチカ」という本は、(中略)まるで数学の本のように、最初に用語の「定義」が示され、次に論述のルールを定める「公理」が来て、それからいくつもの「定理」とその「証明」がひたすら続き (本書より)

 

「エチカ」という本はその内容の構成がまるで数学の論文のような形で展開されていくという特徴があります。はい、ここでページを離れようとしているあなた。もう少し待ってください笑
数学の論文など読める気がしない私たちにもこの「エチカ」を読むための手引きを國分先生はしてくれています。
 

【ぱらぱらめくって気になる定理があったらそこを読めばいい】

これはあらゆる本に対して言えるのかもしれません。特に、古典作品というのは、いわゆる名言のような文が散りばめられていたりするわけですから、
ぱらぱらめくって気になったところがあったらその周辺を読んでみればいいわけです。
 
特にこの「エチカ」には序文がついている章がいくつかあります。
まずはそこから読んでみるというのがいいと思います。
 

【さいごに】

このテキストでは他にも具体的にどの章から読めばいいかやスピノザが考える感情、本質、自由についての解説も書かれているので、
「エチカ」を読むうえでとても頼もしい"水先案内人"になってくれるでしょう!
 

【オススメの関連本】

この本に興味を持った方はこちらの本もオススメです!
 
・國分功一朗著 「はじめてのスピノザ 自由へのエチカ」 講談社現代新書
 
・國分功一朗著 「スピノザ――読む人の肖像」 岩波新書
 
・工藤喜作著 「人と思想 58 スピノザ清水書院
 
上野修著、鈴木泉著 「第III巻 エチカ (スピノザ全集)」岩波書店
「エチカ」の最新の邦訳です!!!

 

上野修著、鈴木泉著 「第I巻 デカルトの哲学原理 形而上学的思想 (スピノザ全集)」岩波書店
スピノザ全集絶賛刊行中!こちらはスピノザの生前唯一の実名で出した「デカルトの哲学原理」が収録されています!
 
上野修著、鈴木泉著 「第V巻 神,そして人間とその幸福についての短論文 (スピノザ全集)」岩波書店
スピノザ全集絶賛刊行中!
 
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